【あらすじ】
祝110周年! その各駅には何がある?
2024(令和6)年12月20日は、京浜東北線の開業から110年の節目だ。 その歴史を刻んできた京浜東北線とは、いったいどのような路線なのだろうか。沿線には、どのような町があるのだろうか。
首都圏に暮らしていて、京浜東北線に一度も乗ったことがないという人は少ないだろう。そのとき、京浜東北線がどんな路線なのかをどれだけ意識するものか。深いことを考えず、ただの通勤電車だと思って乗って、数分後には目的の駅に着いて降りてゆく。
そんな京浜東北線だが、もう少し経緯を払われてもいいのではないかと思う。何しろ、110年にわたって首都圏の通勤輸送を支えてきたのだ。郊外に暮らして都心の職場に電車で通う。そうした生活スタイルを定着させたのは、大正から昭和初期にかけて生まれた郊外の私鉄路線だというのが定説だ。けれど、もっとさかのぼれば、気軽に乗れてスピードも速い電車運転で郊外と都心を結んだ京浜東北線が、その第一歩なのではないか。
混雑がヒドイとか、すぐにダイヤが乱れるとか、いろいろ文句をつけたくなる向きもあろう。けれど、京浜東北線が支えてきたのは東京をはじめとする首都圏そのものだ。110年の歴史の中で、いくつもの町を生み出し、発展させた。そんな京浜東北線と根岸線の旅を、はじめよう。
【目次】
第一章 東京~大宮
東京駅 ――はじまりは中央停車場
神田駅 ――街路を無視した高架駅
秋葉原駅 ――貨物駅からはじまった〝多様性〟のターミナル
御徒町駅 ――上野と地続きのジュエリータウン
上野駅 ――上野公園とはなにか
鶯谷駅 ――崖下に煌めくネオンサイン
日暮里駅 ――常磐線と京成電車
西日暮里駅 ――道灌山から見下ろして
田端駅 ――東京ではいちばんの〝鉄道の町〟
上中里駅 ――京浜東北線〝最小〟の駅
王子駅 ――紙が生まれた日
東十条駅 ――急坂の商店街
赤羽駅 ――なぜ北区最大の繁華街が生まれたのか
川口駅 ――キューポラのある街
西川口駅 ――変貌する多国籍タウン
蕨駅 ――新幹線と成人式、ふたつの〝発祥の地〟
南浦和駅 ――ゴリラと武蔵野線
浦和駅 ――パルコと伊勢丹、ヨーカドー
北浦和駅 ――教育都市・浦和、ここにあり
与野駅 ――浦和と大宮に囲まれて
さいたま新都心駅 ――操車場とスーパーアリーナ
大宮駅 ――隣のホームはアーバンパークライン
第二章 有楽町~横浜
有楽町駅 ――有楽町で逢いましょう
新橋駅 ――なぜサラリーマンの町になったのか
浜松町駅 ――現れては消える高層ビルを、見つめ続ける小便小僧
田町駅 ――ロセッタと倉庫とお立ち台
高輪ゲートウェイ駅 ――変わり続ける四年目の新駅
品川駅 ――次は、高輪
大井町駅 ――東京城南、品川区のターミナル
大森駅 ――モーセ博士と大森貝塚
蒲田駅 ――キネマの天地とトリスバー
川崎駅 ――急げや電氣の道すぐに
鶴見駅 ――移転した總持寺と川の向こうの沖縄タウン
新子安駅 ――無機質な駅前風景と京急との関係
東神奈川駅 ――横浜鉄道と神奈川駅
横浜駅 ――終わらないサグラダ・ファミリア
第三章 根岸線桜木町~大船
桜木町駅 ――東横線とロープウェイ
関内駅 ――横浜の大空に
石川町駅 ――中村川を挟んで、いくつもの顔を見せる
山手駅 ――初めてのトンネルの向こうは丘の上
根岸駅 ――タカとユージの本牧へ
磯子駅 ――偕楽園は巨大団地に変貌し
新杉田駅 ――家系の香りとひばりの劇場
洋光台駅 ――根岸線ニュータウン三兄弟の長男
港南台駅 ――バブル期には一億円近くで分譲も
本郷台駅 ――山の上の海軍の町
大船駅 ――旅の終わりにキネマの天地