妹・菜生の出産を控え、少しの無駄遣いも許されない緒方家。しかし弥十郎が家で見たのは、母・多香女が買い込んできた高価な蘭の鉢だった。値上がり必至と評判のものらしいが……。同じ頃、頼まれた仇討ちに乗り出した弥十郎は、死んだ苗売りの男が何かを見た直後に殺されたことを突き止める。謎を追う弥十郎に忍び寄る権力者・中野清茂、その妖しい手から逃れられるか?
●六道 慧(りくどう・けい)
東京の下町・本所生まれ。今も長兄が実家で小さな小さな町工場を営んでいる。1988年、朝日ソノラマから『大神伝(1) ムーの大神』でデビュー。以来、ライトノベル、時代物、そして警察小説とジャンルを変えながら挑戦してきた。「継続は力なり」が信条。